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高森明勅
2018.5.17 22:00

木村草太氏の自民党改憲案「緊急事態条項」批判

憲法学者で首都大学東京教授の木村草太氏。

自民党改憲案(平成24年に決定)の緊急事態条項(98・99条)
を巡り、
以下のような発言をされている(『自衛隊と憲法』)。

何気なく読むと、大した提案ではないように
見えるかもしれませんが、
この条文はかなり危険です」

緊急事態の定義が法律に委ねられており、
緊急事態宣言の発動要件は極めて曖昧です。
その上、
国会承認は事後でも良いとされていて、
手続き的な歯止めはかなり緩いと言わざるを得ません。
これでは、
内閣が『緊急事態宣言が必要だ』と考えさえすれば、
かなり恣意的に緊急事態宣言が出せることになってしまいます」

緊急事態宣言が出されている時には…国会の十分な議論を経ずに、
国民の権利を制限したり、義務を設定したりすること、あるいは、
統治に関わる法律内容を変更することが、内閣の権限でできてしまう。
例えば、
刑事訴訟法の逮捕要件を変える政令を作り、
裁判所の令状がなくても、内閣が逮捕すると決めれば逮捕できる』
という制度にすることも可能です」

「この規定の下では、国会の監視が及ばないまま、
不公平に復興予算をばらまくといった事態も生じ得ます」

地方自治を内閣の意思で制限できる…例えば、
首相の意に沿わない自治体の首長に『辞任の指示』
出すような事態も考えられます」

「緊急事態中は、基本的人権の『保障』は解除され、
『尊重』
に止まることになります。
…内閣が『どうしても必要だ』
と判断しさえすれば、
人権侵害が許されることになってしまいます」

「緊急事態宣言中…
内閣独裁という体制が出来上がります。
これは、
緊急事態条項というより、
内閣独裁権条項と呼ぶべきでしょう」

アメリカ憲法は、大統領に議会招集権限を与えているだけですし、
ドイツ憲法も、議会の権限・手続の原則を修正するだけであって、
政府に独立の立法権限を与えるものではありません。
また、
フランスや韓国の憲法規定は、
確かに一時的な立法権限を大統領に与えているものの、
その発動要件はかなり厳格で、
そうそう使えるものではありません」

自民党草案のような内閣独裁条項は、
比較法的に見ても異常だと言わざるを得ません」

現在の備えに不備があるなら、
まずは法律改正を提案すべきでしょう。
その上で、
必要な法案が現憲法に違反するということに
なって初めて、
憲法改正を争点とすべきです」

「緊急事態条項を導入するなら、同時に、内閣や国会から
強い独立性を持つ憲法裁判所を設置したり、
統治行為論を
否定する憲法条項を導入するなど、
司法審査を強化することも
考えなくてはならないのです」と。

極めて厳しい自民党改憲案への批判だ。

先に紹介した井上武史氏も、
緊急事態に政府の権限を拡大する条項を
憲法に新しく設けるなら、
併せて権力濫用を防ぐ仕組みを
整備すべき事を主張しておられた。

「緊急事態条項を設ける際には、
危機に迅速に対応できるだけの手段を政府に与えると同時に、
権力濫用を防ぐために、議会や裁判所による政府統制の仕組みも
あわせて整備する必要があ
る。
特にドイツやフランスにおいて、
憲法裁判所は非常時でも
憲法の番人としての役割が与えるられてい
る。
このため、日本維新の会が提唱する『憲法裁判所設置論』

緊急事態条項との関係でも議論するのが望ましい」
(『
中央公論』5月号)と。

なお木村氏の新刊書は、
その内容に全て賛成するか否かとは別に、
憲法論議に加わろうとする者なら、
一通り目を通しておくべきだろう。

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「憲法は国民のものではないのか?

平成30年6月10日(日)午後2時 から
『八重洲博多ビル』(福岡)にて開催します。

「八重洲博多ビル」
(住所:福岡市博多区博多駅東2丁目18番30号)は、
JR・地下鉄
『博多駅』より徒歩5分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

八重洲博多ビルのHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

610日(日曜)午後2時開催の「九州ゴー宣道場」は

自民党の憲法改正推進本部にも影響を与えている、

異端の憲法学者・井上武史准教授をゲストに迎える。

 
テーマは「憲法は国民のものではないのか?」
である。

長谷部恭男や木村草太のように、護憲派に担がれ、真の

「立憲主義」を喪失し、サーカスのような解釈で禄をはむ

者こそ憲法学者、という欺瞞に嵌らない憲法学者をわしは

求めている。

 

現憲法の解釈を既得権益として守りたい憲法学者は、

国民が憲法に関心を持つことを嫌い、妨害する。

 

井上武史氏はそうではないと倉持麟太郎師範は言う。

福岡で開催する「九州ゴー宣道場」に参加する者たちは

幸運である。

憲法学会の枠をはみ出す異端児であり、しかも一流の

憲法学者の意見が聞けるのだ。

まことに楽しみではないか!

 

応募締め切りは530日(水曜)である。

応募開始だ!

自由民権運動の立役者・玄洋社の地に、九州全域から、

いや全国から集結せよ!

明治の自由民権運動以来の「回復の民権」が再開する。

「草の根の新憲法創設」に関われ!

君たちも民権闘士の一人だ!

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
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申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
プリントアウトができない方は、当選メールの受信が確認できるもの
(携帯電話、タブレット等)をお持ちの上、ご来場ください。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成30年5/30(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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